「手作り」


”ケーキを作りたい!”
そう香藤は思った。
この前見たテレビ番組でとっても美味しそうなケーキが出来上がってくるのを見てから
その思いが止まらない。
岩城のいない昼間に
テーブルの上に手作りケーキの本を広げる。
清水さんに頼んでこっそり買ってきて貰ったものだ。


「でも難しいかなあ・・・」
綺麗な飾り付けがされたケーキの写真を見ながら
ちょっぴりため息。
番組では簡単そうに見えたけど・・・。

問題はこの身体の大きさ。
材料の袋を抱えられない
きっとあのボウルもダメだ(空のだったら持てるけどね!)
かき混ぜも出来ないし・・・・
だからといって俺の大きさで出来る型なんておもちゃのケーキみたいに
小さい小さいものになってしまう・・・

今の願いは1つ
岩城さんに美味しいケーキを食べて欲しかった
それを作りたかっただけ・・・
・・・やっぱり大きくなりたいな・・・

本を広げた時はワクワクしていたのに
ケーキを見ている内にちょっと悲しくなってしまった。



「そうですか・・・あいつがそんなことを」
「黙っているつもりだったのですが・・・でも香藤くんの大きさじゃなかなか難しいこともあるかも・・・と思って・・・それに無理して怪我でもしたら大変なので・・・」
「ですね・・・すみません。あ、本の事は・・・」
「あ、いえ、それはいいんです。クリスマスプレゼントですから」
にっこり笑う清水に、ありがとうございますと頭を下げた。

ケーキを手作りしたい。
でも小さい身体じゃやっぱり無理がある・・・
今頃香藤もそのことに気付いているかもしれない。
もしかしたらそれで落ちこんでいるのかも・・・・
そう思うといてもたってもいられなかった。

「清水さん、この後は・・・」
「あと取材が1つ入っていますが、それで今日は終わりです」
そう言って頷く。
岩城もにっこりと頷いた。



車を降りて玄関に向かう。
右手には大きな紙袋。
今まで家には無かった道具がいっぱいだ。
これを見たら、あいつはどういう顔をするのだろう?
何を言うのだろう?
それを考えたら嬉しくなった。


ガチャ・・・扉を開ける。
「ただいま」
そう声をかけると
「岩城さん!」と奥から声が聞こえてきた。
パタパタと軽快な足音が聞こえる。

おまえは驚いてくれるだろうか?
笑ってくれるだろうか?



・・・ひとりで出来ないことはふたりですればいい・・・

ただそれだけのこと。



2007・12  舞



※きっとふたりで一所懸命ケーキ作りするんですよv
粉で白くなる岩城さんと香藤くん・・・・・いいっすよね!
(香藤くんが大きいとエロだが増すけど・・・・笑)