「ポケット」
その朝、今年、最初のチューリップが花開いた。。。 (うう〜ん。さむいよぉ。) 目を開けようとしたけど、あまりの眩しさにどうすることもできない。 今まで、蕾の中でヌクヌクしていた香藤には何が起きたのかわからなかった。 ゴソゴソ花の中に顔をうずめていると突然、雨粒が降ってきた。 「わぁぁぁぁ〜」 声を出すとパッと雨粒が止んだ。 そして太陽をさえぎる黒い陰ができて、香藤はうっすら目を開けた。 その目に映った岩城の顔を絶対に忘れないと思う。大きな目を更に大きくした岩城さん。 沈黙の中、見つめ合う2人。 ・・・クシュン・・・ 水をかぶったせいでクシャミが出た。 その途端、慌てたように岩城さんは俺を抱え、如雨露を放り出して・・・俺を家に入れてくれたんだ。 それから1年が過ぎた。 今年もチューリップの咲く時期がやってくる。 岩城さんが楽しそうに俺に言ったんだ。 「もしかしたら兄弟ができるかもしれないぞ」 微笑んだ岩城さんを不思議そうに見つめる香藤。 「ん?どうかしたか?」 「ううん?なんでもないよ。岩城さん」 そうは言ったものの何かモヤモヤする。 「これってなんだろう?」 しばらくの間、ぼんやり考える香藤が岩城を心配させた。 それから数日後のスタジオの片隅で・・・ 「ねぇ。清水さん。兄弟って大事?」 「それは兄弟がいたら楽しいかもしれませんね」 「そうなんだ。岩城さんもそう言うんだけど…」 「あらっ?どうしたんですか?」 「えっとね。岩城さんのポッケは右と左に2つある。だけど…胸のポッケは1つなんだよね」 困った顔をしている香藤。 「そのポッケは俺のだよね?清水さん」 これが独占欲だとまだわかっていないのだろう。 話すのに夢中で自分の後ろに立っていた岩城さんにも気付かない。 ニコリっと笑って清水が岩城を見上げた。 「香藤」 「あっ岩城さん。終わったの?」 ちょっと身をかがめるとポケットに入ってくる。 おまえがいいならそれでいい。 今年のチューリップも綺麗な花を咲かせた。 だけど奇跡という名の宝物は1つだけ。 H19.12.13 千尋 |
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「咲いた〜咲いた〜♪」 朝から元気な声が響く。 岩城はその声を聞きながら小さなコップにミルクを注いだ。 ”朝はミルクを飲むんだ!” かなり前から宣言して続けている・・・・がその成果はない。 なくていいのだが・・・と思っていることは内緒だ。 「並んだ〜並んだ〜♪」 香藤の希望でリビングのテーブルで食べることになった朝食を運ぶ。 庭の窓辺に立って 色とりどりの花を見る・・・最近の習慣 そして毎日この歌を歌う。 その背を微笑みながら見る。 花が咲く前 香藤を思って口に出した言葉が 彼から少しだけ元気を奪ってしまった。 可愛い 可愛い 大切な香藤・・・ 思いはそれだけなのに時々それは、空回りしてしまう。 こんなに大切な存在は初めてで、扱いが分からなくなる・・・ 反省ばかりしているけれど でも香藤は笑ってくれる。 それが嬉しい。 「どの花 見ても〜♪」 歌いながら揺れる背中が愛らしい。 歌が終わった頃を見計らって声をかけた。 「香藤!朝食の準備が出来たぞ」 「あ、岩城さん!!」 嬉しそうにぱっと振り返り走ってくる。 屈み込んで伸ばした掌にちょこんと乗ってきた。 「今日も綺麗に咲いていたよ!」 明るく笑う香藤に 「そうか 良かったな」と答えた。 「後で庭に出て一緒見よう!」 「ああ」 久し振りの休み・・・それで一段と今日の歌声は大きかったのかも知れない・・・ 「でもね」 ミルクを一口飲んだ香藤が言う。 「岩城さんが一番綺麗!」 そう言った顔には・・・白い髭。 「香藤、おまえ・・・ぷっ」 我慢出来無くて吹き出した俺に 「岩城さん!?」 と 香藤が少し驚いた様子で首を傾げた。 本当に幸せだと思う・・・・・ これからもチューリップを見ながら思うのだろう。 繰り返し、繰り返し・・・ ・・・・本当におまえと出会えて良かった・・・・ありがとう、香藤。 2007・12 舞 |
※親指香藤くん、コラボ1作目ですv
コラボに関してはクリスマス関係無しでフリータイトルで書くことになりましたv
これは千尋さんが書いたお話に、私がつけたもので・・・2作目はその逆になります。
お楽しみいただければ嬉しいですv
千尋さん、ありがとうございました!
お世話になりましたv